数当てマジックの種明かし

数当てマジックを体験できるアプリを作成していたのですが、あまりに評判が悪くて処分しました。
で、その内の一つの数当てマジックの種明かしをします。
まずはシナリオ
マジシャン(以下、ま):「好きな2桁の数字を頭の中でイメージしてください。」
客:「はい」
ま:「その数字を3で割ったときのあまりはいくつですか?」
客:「2です。」
ま:「その数字を5で割ったときのあまりはいくつですか?」
客:「3です。」
ま:「その数字を7で割ったときのあまりはいくつですか?」
客:「4です。」
ま:「その数字は53ですね。」
客:「おぉ〜すご〜い!」
という感じですが、実際には7で割った時のあまりを瞬時に計算出来る人なんてほとんどいるわけもなく、
お客さんは(実はマジシャンも)電卓必須のマジックです。
肝心の種ですが、ここでまずお客さんが考えた2桁の数字をxとします。
xを3で割ったあまり、5で割ったあまり、7で割ったあまりをそれぞれ\alpha\beta\gammaとします。
で、次の式を計算します。
70\times \alpha+21\times \beta+15\times\gamma  (式1)
この式から得られた答えから105未満になるまで繰り返し105を引きます。
例えば上の例だと
70\times2+21\times3+15\times4 = 263
105未満になるまで、105で繰り返し引きます。
263 - 105 = 158
158 - 105 = 53
53出てきましたね。
なんでこうなるの?ということですが、3\times5\times\7=105ということに気づくことが必要です。
次は式1の係数に注目です。
3のあまりである\alphaの係数70は7\times5\times2
5のあまりである\betaの係数21は3\times7
7のあまりである\gammaの係数15は3\times5
あとは係数をすべて足すと106になります。
見えましたか?
見えないということでしたら、全部愚直に式に書きだします。
ある数xを3で割ったときの商、5で割った時の商、7で割ったときの商をそれぞれa, b, cとします。
あと、最後に105を引いた回数をdとします。
すると次の4つの式ができます。
3a+\alpha=x 式2
5b+\beta=x 式3
7c+\gamma=x 式4
70\alpha+21\beta+15\gamma-105d=x 式5
式2〜4の式を5に代入します。
70x-210a+21x-105b+15x-105c-105d=x
\Leftrightarrow106x-210a-105b-105c-105d=x
\Leftrightarrow105x=210a-105b-105c-105d
お、なんか全体が105で割り切れるじゃん。美しい!
と思ったのは私だけでしょうか。
つまり、お客さんが考えた数字を当てるための式5は105で繰り返し引けば、その数字が出てくるように工夫されているのでした。

これを応用するとお客さんが考えた1155未満の数字を、
3で割ったあまり、5で割ったあまり、7で割ったあまり、11で割ったあまりから導き出すことができます。

ちなみに式は3,5,7,11で割ったあまりをそれぞれ\alpha,\beta,\gamma,\deltaとすると、
385\alpha+213\beta+330\gamma+210\deltaで得られた答えを1155で繰り返し引けば導けます。

こんなの誰も計算したくないですよね。
だからアプリにしたんですけど、誰も11で割ったあまりとか求めたくないと言われました。。。
今回は素数の組み合わせでしたが本当は互いに素な数の組み合わせであれば、同じようなマジックが可能です。
(誰も計算したくないと思いますけど)

ちなみにこのトピックが面白いと思った方がいらっしゃったら、「中国の剰余定理」で検索してみると、
もっと面白いと思えると思います。